5月21日に行われたNeteaseの第1四半期決算報告では、無限大Anantaに関して言及される場面はあったものの、具体的なリリース時期について触れられることはなく、むしろ急がない方針が示されました。
ということで今回は、直近4年間16回分のNeteaseの決算報告の全文を精査し、主なタイトルについて触れられている箇所をピックアップ。
開発初期からリリース直前にかけてのトーンの変化や、具体的なリリース日が示される時期などについての傾向を探っていきます。
予定通りにリリースされたパターン
Justice Online (逆水寒) モバイル版

北宋時代の中国を舞台にしたオープンワールドMMORPG。
2018年に中国でPC版がリリースされており、2023年6月30日に中国モバイル版がリリースされました。
5月20日に2022年度のゲーム製品発表イベントを開催し、逆水寒に関する最新情報を公開した
逆水寒の開発が順調に進んでいる
逆水寒の初回テストを実施し、1,000万人以上の事前登録者数を記録するなど、非常に好調な結果となった
今年後半のリリースを目指している
逆水寒は6月30日にリリースされる
こちらはリリース時期について具体的な言及がされたのは約4ヶ月前で、予定通りにリリースされたパターン。
PC版をもとにしたモバイル版のため無限大Anantaとは状況が異なるものの、決算での触れられ方は参考になるかもしれません。
Marvel Rivals (漫威争锋)

2024年12月6日リリースのマーベルIPヒーローシューター。
近い将来、スーパーヒーローチームをベースとしたPVPシューティングゲーム「Marvel Rivals」をプレイヤーコミュニティに提供する予定
Marvel Rivalsは、5月にソニーのState of Playでコンソール版の計画を発表し、7月下旬にサンディエゴゲームコミコンで新しいトレーラーとマーベルゲームパネルを披露しました
また、今週ケルンで開催されたGamescomで素晴らしいショーケースを行い、12月6日のリリース日を発表した
「Marvel Rivals」は、12月6日に世界同時リリースされる予定
決算で初めて言及されたのが遅く、リリース時期についても直前まで明かされなかったパターン。
マーベルのIPものであるため遅れることが出来なかったとも考えられますが、Steamの同時接続数は644,269と驚異的な人気を獲得しており、直後の決算でもローンチは大成功だったとしています。
なお、本作について2024年5月の第1四半期決算で「これまでシューティングは得意分野ではありませんでしたが、このジャンルを攻略することに非常に力を入れてきました」としており、決して容易な開発ではなかったと考えられます。
予定よりも遅れたパターン
風燕伝:Where Winds Meet (燕云十六声)

2024年12月27日リリースのオープンワールド武侠アクションRPG。
遅くとも2024年第2四半期を超えることはない、前倒しになる可能性もある
会社として非常に重視している
2024年7月リリースに向けて準備を進めている
モバイル版はPCより遅れる見込みである
12月の国内発売に向けて順調に開発が進んでいる
12月末にPC版を先行でリリースする
→PC版は12月27日、モバイル版は翌年1月9日にリリース
早い段階からリリース時期について明言されていたものの、品質向上を主な理由として2度の延長を経てリリースされているパターンです。
結果としてQ4決算時点で累計ユーザー4000万人を突破、Steamの最大同時接続数は25万人を超えており、延期判断の成功例として認識しているものと考えられます。
決算であまり触れられなかったパターン
Once Human (七日世界)

2024年7月9日PC版リリースのサバイバルゲーム。(モバイル版は2025年4月23日)
Once Humanなど、多数のゲームを開発中
第3四半期に予定されている中国本土でのOnce Humanのローンチを大変楽しみにしている
PC版の同時接続数は231,668を記録した大きなタイトルでありながら、決算報告での触れられ方が非常に少なかったパターン。
本作はベータテストなども行っているものの、NetEaseは割とあっさりリリースするパターンがありがちです。
長期開発の結果失敗したパターン
The Condor Heroes (射雕)
開発期間6年・10億人民元を投じた金庸IPの武侠オープンワールド。
会社として非常に重視している (風燕伝と共に)
3月にローンチした「射雕」のパフォーマンスには全く満足していない。現在新しい責任者とコアメンバーが次のバージョンのための突貫作業をしており、夏休みに作り直したものを出す
当初は2024年の旗艦タイトル候補とされたものの失敗。
大幅改修もうまくいかず、2025年にサービスを終了しました。
風燕伝のような「品質向上」の成功例がある一方、長期開発のリスクについてNeteaseは身をもって経験しているといえます。
NetEaseのプロモーション戦略について

以上のように、かなりの大作タイトルであっても直前の決算まで開発状況やリリース時期について一切言及されないパターンはいくつかあります。
また、「風燕伝」ではクオリティアップのための延期判断が下されましたが、それでも初期の発言から半年の遅延にとどまっているほか、「射雕」のように時間をかけたのに失敗したという経験もあります。
それらの状況を加味すると、2026年後半リリースの可能性は依然としてあるものの、完成度に満足してない場合2027年前半まで遅れる可能性があるのではないかと考えられます。

一方、それ以上の遅延となると厳しい面があるでしょう。例えば、「原神」は3年半かけた開発費が約100億円、リリース後の開発・運営費は年間200億円と言われています。
3年半の開発期間は少人数からスタートしている上、リリース後は運営費も含まれるため一概には言えませんが、無限大Anantaの開発規模が昨年のTGS時点でリリース後の原神と同じかそれ以上であることを考えると、なんとなくの金額は想像がつきそうです。
もちろん、2027年後半以降になる可能性も無くはないですが、他のタイトルの「半年延期」と無限大Anantaの「半年延期」では、かかるコストが違うという点は覚えておく必要があります。

また、今回の決算で競合タイトルについてこのような発言がありました
私たちは、高品質で革新的な製品には常に強力な市場機会が存在すると信じています。結局のところ、製品の成否を決定づけるのは、リリース時期や競合作の数といった外的要因ではありません。
筆者は以前からNetEaseはGTA6やその他タイトルに関わらず好きなタイミングでリリースするのではと考察していましたが、実際に競合作が無限大Anantaのローンチ計画に影響を与えることは無いと改めて確認できたのは収穫といえるでしょう。
というのも、NetEaseは大企業であるという以上にプロモーション力に長けているのです。
「原神」や「鳴潮」系のインフルエンサーのYouTubeチャンネルなどで、中国案件の連絡先として○○@youdaoads.comという表記を見ることが多くあります。

これはNetEase傘下、网易有道の広告代理店「Youdao Ads」と契約しているインフルエンサーであるということで、NetEaseタイトルはもちろん、原神やその他アニメ調タイトルのプロモーションにも関わっているなど、ゲームのプロモーションに長けた部門となっています。
また、NetEaseは西新宿に日本支社を構えており、ローカライズやインフルエンサー対応を迅速に行えるというのも大きな強みといえます。
「完成度さえ高めれば圧倒的なプロモーション力でなんとかできる」という自信と環境がある一方、やみくもに時間をかければ良いという訳ではないことも理解しているでしょう。

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